CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー
第2回 (株)セキコーポレーション
あくまでメカで勝負
取材先 (株)セキコーポレーション(代表取締役 山木 孝之)
所在地 八王子市明神町2-9-22
電話 042-644-3991
e-mail s-seki@seki-corp.co.jp
全世界の販売台数は数千万台ともいわれ、すっかり世界中のお茶の間にとけ込んだ感のあるソニーのゲーム機プレイステーション。この“プレステ”の本体に組み込まれる主要金属機構部品は、実は八王子市にある企業で作られている。主に金属プレス製品製造業としてAV・事務機器部品を生産するセキコーポレーションがその会社だ。この不況期に6%超の、製造業としては高い利益率を誇る優良企業でもある。そんなセキコーポレーションの代表取締役社長、関重和(せき しげかず)さんを尋ねた。 |
メカトロニクスの時代の中で技術を磨いたセキコーポレーション
昭和23年、先代が港区白金で創業したのがセキコーポレーションの始まりだ。主に電話機など通信機の部品加工を手がけ、電々公社(当時)の厳しい品質要求のもとで、「高精度の加工や品質技術が鍛えられた」という。 高度経済成長期を迎え各家庭での家電製品の需要が右肩上がりに伸びてくると、オーディオ関連や家庭用ビデオの部品を主に手がけるようになった。その中の一つがきっかけとなって、セキコーポレーションは後に世界の新しい文化を築いた「大ヒット商品」を受注することになる。 |
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誰もが耳にしたことがある、ウォークマン。地道な努力が実を結んだ
その部品とはカセットテープレコーダーのメカシャーシだった。これを製造するうちに、「会社として小型精密部品の製造技術を身に付けていった」という。そして、その技術力がソニーの信頼へとつながった。つまり、大ヒット商品となった「ウォークマン」の開発のベースとなったのは、セキコーポレーションで生産していたメカシャーシであり、その幸運を得て初代ウォークマンのメカデッキ組立を一貫生産する仕事を受注したのである。 関さんは、新しい仕事に追われる中、製品となったヘッドホンウォークマンの音を初めて聞いた時の感動は今でも忘れられないと当時を振り返った。いうまでもなく、世にない新しい商品を次々と生み出すソニーとの付き合いが、現在のプレイステーション部品の受注につながっている。 | |
競争力をつけるために
しかし、どれほど技術力があっても量産品の世界では国内部品メーカーはどこも厳しいコスト削減要求と海外との激しい競争の波に揉まれている。セキコーポレーションも同様だ。 そこでセキコーポレーションでは中小製造業としては比較的早い時期といえる1988年に海外拠点としてシンガポールに進出した。その後1994年にはマレーシアへの海外展開を拡大し、今は中国への進出を計画中とのこと。「国内の受注を確保するためにも海外の生産体制が無いと大手を顧客とする部品メーカーとして認知されることは難しいのです。中国生産がトータルコストで特別安いとは思わないのですが、今は需要が中国に集まっているので…」と関社長。 |
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また、「競争力の第1歩は人づくりから」と人材育成にも気を使っている。特にこれからはスペシャリストだけでなく、仕事をコーディネートできるようなマネージャー的な人材が重要だと考えている。「ただ、そういう人づくりなど経営の思いを社員皆に伝えることはなかなか難しいですね」。国内外に多数多様の人材を雇っている経営者ゆえの悩みかもしれない。
もう1つ、中小製造業のネットワークづくりにも関さんは積極的だ。今や「中小製造業のヤフー」として登録企業10.000社を越える検索ネットワークの「NCネットワーク」にはスタート時から関わっているという。また、関東周辺の金型関連企業からなる「21世紀金型会」にも参加し、技術交流による新境地を見出そうとしている。
八王子に来たのはたまたまというところが本当のところ
ところで、セキコーポレーションが八王子にやってきたのは昭和36年のこと。事業が拡大する中で都内の工場が手狭になったため、移転先を探していたら「条件の合う物件があったのが八王子だった…その意味では、八王子に来たのはたまたまだったんですけれど」と言いつつも、八王子にいるメリットもいろいろあると教えてくれた。 その1つは営業の窓口となるメーカーのお客様が都内に多く、営業拠点としての利便性が良いこと、また社員にとっては職住近接の環境だ。「これは従業員には本当に恵まれた条件でしょう」。同時に、経営者としては「学生の採用がしやすいですね」とも。だから「八王子じゃなくてもいいのかもしれないけれど、八王子を出たいとは思わない」と、関さんは八王子の企業であることの魅力を語る。 | |