第9回 ファイナンシャルプランナー知恵の木
まず自分の人柄を知ってもらうことから始まる
取材先 「ファイナンシャルプランナー知恵の木」(代表 伊藤誠)
所在地 東京都多摩市唐木田1-53-2 ドラゴンマンション201
電話 090-5763-9114
e-mail itohmry@wta.att.ne.jp
URLwww.chienoki.com/company
ベンチャーHACHIOJI内にあるオフィス
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「そろそろ『マイホーム』の購入を考えているのだが、思い切って新築物件にするべきか、はたまた少々我慢して中古物件にするべきか…」「子供が独立したから保険の見直しをしたいけど、掛け捨てにするべきか、それとも老後を考えて貯蓄型にするべきか…」こんな時、給料や出費から分析し、自分にベストな選択を冷静にアドバイスしてくれる人がいればどんなに助かるだろうか…。そんな悩みの相談に乗り解決策を提案してくれる専門家がファイナンシャルプランナー(FP)だ。今回お話を伺った伊藤誠(いとう まこと)さんは「お金」を切り口に、個人のライフプラン(人生設計)構築と夢の実現を支援・コンサルティングをする「FP知恵の木」を立ち上げた。
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独立系にこだわり、地域密着型FPに!
日本にFPが上陸したのは15年前。この資格を持っている人は日本ではまだ12万人と少ない。ただし、最初の10年は2万人しかいなかったものが、この5年の間に10万人増えたそうだ。
FPは大きく分けて”企業系”と”独立系”の2通りある。全体の約9割が主に金融機関等の企業に所属する「企業系FP」。そのため、自社製品を薦めざるを得ないのが現実だ。一方「独立系FP」は企業に属していないため、中立・客観的な立場から相談者に最適な提案ができるという。伊藤さんのように「独立系」で会社を創業しているのは、全国でも100人にも満たない。
まだまだ認知度は低いが、地域密着型での事業展開、つまり”まちのお医者さん”的存在のFPを目論んでいるのです」と伊藤さんは今後の戦略を語る。
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楽しい人生を顧客におくってもらう
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これは伊藤さんのFPとしてのモットーである。この仕事の目的は資金運用によって貯蓄を増やすことだけではない。消費する安心や楽しさをコンサルティングするのも柱のひとつだという。例えば高級レストランに行って2万円の食事をしたとしよう。その後で「何でこんなに使ってしまったのだろう」と後悔するようでは悲しい。けれども、1年間で50万までは使えるお金があるとわかっていたら、2万円の食事も喜びになるだろう。
「心配している人を安心させる。逆に安心している人を心配させることもある」というようにお金の計算のみならず、広い意味”豊かさ”のカウンセリングやサポートを伊藤さんは行っているのだ。 |
独立はファイナンシャルプランナーとして
人は「将来は何になりたい。どこの学校に入る。結婚して子供をつくって明るい家庭を築く」というように、なにがしかの”夢”を描く。伊藤さんは大学を卒業するとソフトウェア会社に就職し、家庭を持ち、ささやかながら世間で一般的に言われる夢は達成した。そこで次の目標として「将来独立する」と決意を固めた。35歳の時だった。「それには幅広い分野の仕事が必要だろう」と思い、入社時以来からの経理畑を離れ、営業を志願。独立するために自分の資質を磨いたという。
そして、「人間の幸せってなんだろう?」「何を持って幸せなのか?」とふと考えるようになった時に出会ったのがFPという職業だった。「これは」と思い38歳の時に勉強を始め、AFPの資格を、1年後には難しいと言われるCFPの資格も取得した。
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また、資格を取得するにあたって知り合ったのが恩師でもある『井畑 敏(いはた さとし)』氏。井畑氏のもとで研修を受けているうちに、「どちらかというとテレビや雑誌の評論家的な活動をしているFPが多い中、地域密着型のプランナーを育てたい」という氏の考え方に共感したという。そして、これが独立のきっかけとなった。
信頼関係づくりが第一
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家族の年収、住宅ローン残高、生命保険やどんな車に乗っているかなど、顧客のお金にまつわる情報には際限がない。FPが顧客のライフプランをつくるには、そういう情報を引き出さなくてはならない。だから、信頼関係づくりが第一の仕事になる。さぞかし苦労しているのではと尋ねると、「相談に来ていただいた時は、最初は僕の人柄をわかっていただくために色々な話をする。この人なら信頼できると思ってもらえなければ仕事ができませんから」と語ってくれた。
よく世間ではこの仕事だけで食べていくのは難しいと言われるFP。「独立系FPのパイオニアを目指す」とあえて企業系ではなくいばらの道を選んだ意気込みを語る伊藤さんは、1、2年は暇でも仕方がないと思って創業したそうだが、その人柄が口こみで広がり顧客が着実に増えているそうだ。 |
編集後記
「FP知恵の木」は都のインキュベ-ション施設”ベンチャー八王子”に入居している。それには将来の事業計画等、6倍にも及んだ競争率による厳しい審査を経て入居することとなったわけだが、「ここに来たのも何か”縁”を感じる」と伊藤さんは語る。伊藤さんは大学を卒業するまで千葉に居住していたが、その昔、祖父母が八王子市の大和田町で落下傘の紐を作っていたため、幼い頃はよく八王子で遊びに来ていたと言う。
3年間で200人の顧客獲得を目指すそうだが、ベンチャー八王子を巣立つ日のひと回り大きくなった『知恵の木』が楽しみである。
(取材日2002年6月17日)