CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第101回 株式会社エイト

『人間関係の大切さときめ細かなサービス』

取材先 株式会社エイト(代表取締役 門倉 裕 氏)

所在地 東京都八王子市明神町 3-20-5 エイト本社ビル

電話 042-645-2911

URL eight-jp.net/

今回、取材を行った株式会社エイトは、昭和63年に現在会長の白柳 雅文氏(しらやなぎ  まさふみ)によって設立。当初は運輸業・鉄筋工事業を営む。これからは不動産の需要が高まると感じた白柳会長が平成3年に異業種である不動産事業に乗り出し、不動産事業を皮切りに建物総合管理事業、マンション管理事業、緑地管理事業など全国に事業拡大。
2016年の7月には、入社27年目の門倉 裕氏(かどくら  ゆたか)が第三者事業承継で代表取締役に就任され、今年で2年目の勢いのある門倉氏にお話を伺う。

 

(代表取締役 門倉 裕 氏)

                 

第三者承継について

門倉氏は川口町の川口中学校を卒業後、先輩の紹介もあり、学校に通いながら株式会社エイトに入社。「多くのことを学べることから、働くことの楽しさを知り、仕事一筋です。また、仕事上で出来ないと言う理由で、断ってしまうと次の仕事を失ってしまい従業員を守る事が出来ないので、必死に一つひとつ仕事をこなしていく内に気づけば、30を超える資格を取得をしていました」と語る。常々白柳会長は、創業まもない時期に倒産寸前の経験をした事により、2度と同じ状況に陥らないため、数々の社長の失敗の法則や人生を失敗しない為の法則を学び実践。また、元気な内に同社をより発展するため後任に社長の座を任せようと考える。そんな思いの中で経営が安定してきた6年前から白柳会長に「是非社長になってほしい」と打診を受け続ける。ただ、門倉氏は入社してから、1度も社長になりたいと思ったことはないと言う。理由は「創業当初の頃から一緒に仕事をさせていただく中で、実績がなかった若い会社が、仕事の信頼を得るための努力や会社が大きく拡大するにつれて会社組織のマネージメントなどに白柳会長が苦労している姿を間近で見ていたので・・・」。しかしながら、「入社当社は鉄筋の組み立てやトラックの運輸から始まり、保険・在日米軍関連事業・不動産事業など、多くの業種に携わる事でビジネスマンとして成長させていただいた白柳会長への恩返しになるのなら」との思いで、2016年7月に代表取締役社長に就任した。

 

社長に就任してからは仕事の比率が変わり、具体的には会社全体の業務が8割で自分の仕事が2割になり、資金の流れや費用など会社全体の数字や会社をマネージメントするために力を注ぐ。
社長に就任し、慣れてくるとプレッシャーはそれ程感じた事はないと言う。「普通の人は不安を自分の中で、50%や60%ぐらいに膨らませる人が多いが、私はそんなに不安を感じた事がない。むしろ問題=不安に対してどのように解決をすればよいのかに注力をしています。勿論解決をするために問題点の把握と解決のための方針を検討します」と笑顔で語る。

業務の差別化と他社が真似できないコンクリート研磨技術

「不動産事業、建物総合管理事業、マンション管理事業、緑地管理事業、在日米軍関連事業など別々の事業ですが、トータル的に繋がり問題を解決出来ます」

同社では多くの事業を手がけているが、各事業の強みを活かした特徴がある。

例えば、建物総合管理事業での差別化としては、「病院の清掃業務に注力をしています。普通の清掃業務と異なり、病院の清掃業務をする場合は、守秘義務・針の処理方法・ウイルスを外部に漏らさないための詳細な手順とルールがあり、現場の従業員には徹底しています。一方で良質な医療関連サービスを提供する基準を充たしている証として「医療関連サービスマーク制度」も取得をしていますので、お客様には安心して業務を委託していただいています。」

 

また、在日米軍関連事業では、「福生市にある横田基地での仕事をきっかけに在日米軍関連のノウハウの蓄積や経験です。具体的には納品の仕方や管理など色々な厳しいチェックやルールをクリアする必要があります。他社はノウハウや経験が無いので参入がしづらい所があります。そのノウハウを活かしながら現在は青森県、京都府、長崎県、沖縄県と支店を展開しています。」

 

「さらに、他社が真似できない独自のコンクリート研磨技術のエイトポリッシュコンクリート施工が強みです。従来のPタイル・カーペットの場合、その美観を保つためには日頃の清掃と定期的なメンテナンスが常に必要になります。また床面の劣化が激しい場合、数年ごとの張り替えが必要となることもあります。エイトポリッシュコンクリート施工では、床面をコーティングするのではなく、下地となる床面のコンクリートの表面自体を磨いて床面を強固に仕上げる画期的な施工法です。施工には研磨用機械と目の細かい特殊なダイヤモンドツールを使用します。その結果、汚れの付着しにくい強固な床に仕上がるため、施設の維持管理にかかるランニングコストも大幅に軽減します。そして、照明を反射するほどに磨かれた床は、まるで大理石を思わせる重厚な仕上がりになり、お客様から好評をいただいています。」

建物清掃                コンクリート研磨

 

従業員への思い

「当社では現在パートタイムも含めると893人の従業員が働いており、安全な労働環境を作るため、毎年6月末日に安全技術講習会を開催し、職場における安全衛生管理についての理解や事故防止、事故発生時の適切な対応について再認識する指導をしています。また、当社で働く一人ひとりが主役であり、当社で働く事がより楽しくなる仕組みを作りたいと考えています。
その一環として働きやすい環境を整えるため、安全技術講習会と併せて職場改善のアンケートも実施しています。アンケートの内容は担当している管理者に伝え、一緒に働きやすい環境作りにも力を入れています。」

従業員のモチベーションを継続するためにユニークな福利厚生を採用している。「具体的には個人としては勤続4年毎に10日間の休暇(有給)がもらえる通称『オリンピック休暇』や独身者のコンパ・お見合いへの応援支給などがあります。また、従業員に好評の入学式休暇やお誕生日休暇などがあります。一方で芸術文化活動支援制度があり、野球部・ゴルフ部・全関東八王子夢街道駅伝競走大会に出場する社員の活動に支援を行っています。基本的に業務はチームワークで行うため、コミュニケーションや人間力向上を目的とし活動費を支援しています。」

人材育成では、「門外不出の経営計画書という手帳があります。毎年社長と社員が手帳を作成し、全社員が携帯しています。主任・係長・課長・部長と役職が上がるに連れて必要なスキルを補うためのノウハウや推薦図書が記載されており、自分自身のやる気次第でスキルアップが出来るようになっています。」

明神町にある研修センター

社会貢献

同社は、経営理念の一つに「社会に貢献する」を掲げている。具体的には「有志の集まりで、東日本大震災で深刻な被害を受けた岩手県陸前高田市の復興のお手伝いに行ったり、一方で公益財団法人School Aid Japanへの協力によりカンボジアに2011年10月に1校目の学校を設立し、翌年の2012年5月には2校目を設立しました。また無償の心で行うボランティアは、お金で買うことが出来ない満足感を得る事や従業員の仕事への高いモチベーションに繋がるので、今後とも継続的に行っていきます。」と優しい口調で語る。

今後について

「テクノロジーの開発が進みAIやIoT化により、労務の仕事を機械が行う時代になります。ただ仕事が減る一方でそれに変わる仕事が新に出てくるので見定める経営が必要になります。例えば、床の清掃の業務では、5年後はロボットと人間が共有を行いロボットが苦手な隅の清掃については人間が行う清掃のやり方に替わると予想が出来ます。さらに10年後はロボットが完全に人間の替わりに清掃を行うと予想が出来ます。近い将来に備えて、今後はロボットの開発やメンテナンスを行う業務にシフト出来るように準備を行っています。」と冷静に未来のビジョンを語る。

「また今後業務の発展に伴い新しい従業員の雇用をしていきたいが、当社は中小企業ですので、中々人が集まらないのが現状です。ただ、『当社で働いて良かった。楽しい』と言って貰える仕組みを作っていきたいです。」

一方従業員に求める事は「現場ではお客様へのレスポンス対応のスピードの向上とプラスαの提案をやり続ける事です。さらにお客様の立場に立ちその背景までも理解して提案や対応をする事で、お客様に喜んで貰える事は勿論、一歩踏み込んだ人間関係を築ける鍵となります。その対応が、人脈の広がりを生み出すだけでなく、仕事全体をイメージで捉えられる能力も身につくことができるので、積極的に自分の頭で考えて提案が出来る従業員がより増えればと感じます。」

                                            株式会社エイト

編集後記

門倉氏が社員を守るために、「味方をつくるより、敵をつくるな。ファンをつくる事が大切だ。」とおっしゃっていた事が印象的でした。お客様とのやり取りの中で、無理難題を提示するお客様がいる中、相手の立場に立って気遣いを行い、難しい仕事を着実にクリアする中で信頼関係を形成してきたエピソードを伺っている内に、私もいつの間に取材を忘れて門倉氏の人間力の高い話を聞き入ってしまいました。
また、テクノロジーの開発が進みAIやIoT化が進む中、5年後、10年後の株式会社エイトがどのような事業で発展されるのか、∞(無限)の可能性を感じる注目の企業であり、再び門倉氏に取材に伺いたいと思わせる魅力的な経営者でした。

(取材日2018年8月9日)