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第13期はちおうじ未来塾 第7回を開催しました。
11/16(土)第7回を開催し、株式会社ミラック光学 代表取締役 村松洋明氏をお招きしご講演いただきました。
株式会社ミラック光学の村松社長は、工業用の「双眼顕微鏡」メーカーから独立した創業者であるご尊父の後を継ぎ、顕微鏡製造で培ったコア技術を水平展開しながら、ニッチな分野で着実に顧客を獲得しています。
また、村松社長は、公立はこだて未来大学発ベンチャー企業として平成29年3月に「株式会社AIハヤブサ」を函館の地に設立。人工知能(AI)技術を活用したソフトウェアおよび設備等の開発・販売を手掛け、産学官連携による“函館AIバレー構想”の実現に向けて、そしてミラック光学の明るい未来に向けて、精力的に活動されています。
この度の未来塾では『既存ビジネスの横展開と新規事業に挑む勇気』と題し、村松社長のこれまでの、そしてこれからの『挑戦と戦略』についてお話しいただきました。
■既存技術の横展開への挑戦
日本の中小企業の数は357.8万(2016年6月時点。2019年度版中小企業白書より)で、その数は年々減少傾向にあります。
そんな中、現在も活躍している企業には顧客から支持されている理由、言い換えれば「強み」があるからこそ生き残っていると言えます。一方で、これから先は全く同じような営業をしても存続できる保証はない環境にあると言えます。
「自社の強みは何か」「強みをより活かした新たな展開は何か」「新たな活動をするための考え方や行動とは」これらが経営者にとって大変重要であると今回の講義で深く考えさせられました。
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村松社長は1991年24歳のときに2代目として株式会社ミラック光学に入社。この時代はバブル崩壊や1ドル79円台に突入する程の円高等、日本経済苦境の突入期。
自社売上が1/3までに激減する等、廃業の危機まで追い込まれたミラック光学。ただ、村松社長はそこで多くの教訓を得て、その後の決断・行動に移すことができたと言います。
講義でお話しいただいたうちの一部が「自社の強みって何?」「常識をあえて否定して考えてみる」こと。顕微鏡で培ったコア技術が強みのミラック光学は、強みを応用して全く新しい分野での水平展開を図ることを決断されました。2000年のころになります。
開発されたのはFA(ファクトリーオートメーション:工場における生産工程の自動化を図るシステム)分野の位置決めに需要のある【アリ溝式ステージ】に特化した製品。
コア技術を活かした応用製品は様々な可能性がありましたが、ミラック光学は【アリ溝式】に一点集中。更に製品の付加価値向上と模倣品抑制のため知財戦略も積極的に展開。「ニッチ分野に一点集中。これが自社のランチェスター戦略」と村松社長。中小企業戦略の具体的事例を学ばせていただきました。
■伝統技術と最先端技術の両輪柱への挑戦
技術の横展開と知的財産権の組み合わせにより、競合メーカーによるアリ溝式ステージ分野での新商品が出なくなり、現在独占状態になりつつあるというミラック光学。
しかし、危機感の塊りである村松社長。2013年、創業50周年を迎えた時期に新たな事業柱の必要性を感じたとのことです。それは単なる事業展開でなく、業種転換も視野にいれた「第二の創業」への展開でした。
村松社長が考えたのは、これまで培ってきた伝統技術を【残すこと】と、最先端技術を活用した新製品を【創ること】。ユーザーが抱える課題とも向き合いながら出した1つの答えが人工知能(AI技術)分野の開拓でした。
そんな折、とある縁で函館市が開いた展示商談会に参加したことが大きな転機に。当日パネルディスカッションで登壇されていた公立はこだて未来大学松原教授との出会いです。教授のお話しに感銘を受けた村松社長は、講演後誰よりも早く教授控室に行きご挨拶されたそうです。
松原教授も村松社長の想いに共感。その後、函館現地での打合せや視察等を重ねました。そこで見えたのは函館が抱える様々な課題でした。
同時に、AI技術による課題解決の大いなる可能性を見出した村松社長は松原教授とともに2017年3月に公立はこだて未来大学発ベンチャー企業「株式会社AIハヤブサ」を函館の地に設立。ミラック光学ユーザーの課題解決そして函館活性化に向けて産学官連携で精力的に活動されています。
危機感からの行動で、既存事業から他分野事業へ展開された村松社長。
第二の創業を模索と実行⇒事業の新たな可能性を模索し続けること
松原教授へのご挨拶⇒チャンスを逃さぬよう直ぐ行動
AIハヤブサの産学官連携体制⇒常に「協業」を意識した事業展開
等、先行き不透明な現代において中小企業が持続的発展するために大切なことを学ばせていただきました。
■グループディスカッション
続いて、本日講義を踏まえて塾生でチームを組み、グループディスカッションを実施。
テーマは「グループ内の仲間の企業を客観的に見て、横展開・新規事業のアイデアを出し合う」。
他社の事業アイデアを出し合うのは簡単ではありません。しかし、未来塾も第7回を迎え、塾生同士、自社について色んなことを話し合う機会がありました。村松社長の熱のある講義の勢いそのままに、互いにアイデアを出し合うなど活発な意見交換がなされました。
発表後は村松社長より各班へのコメントをしていただきました。
「違う視点が入ると視野が広がります。今回のディスカッションで自社の新たな可能性について日々考えるクセをつけるキッカケとなってもらえたら」とアドバイスをいただきました。
毎月未来塾では、事前に講師よりご推薦いただいた図書を塾生へ配付しています。今回村松社長からは「ランチェスター戦略」に関する図書のご推薦。事前の課題図書と村松社長の具体的事例を交えた講義とあわせて【中小企業の戦い方】をより具体的に考える機会となったのではないでしょうか。
講義は残すところあと3回。引き続き様々な観点でカリキュラムを企画運営してまいります。