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第13期はちおうじ未来塾 第10回を開催しました。
2/15(土)第10回を開催し、株式会社栄鋳造所 代表取締役社長の鈴木隆史氏をお招きしご講演いただきました。
アルミ鋳物業の栄鋳造所は、同社固有の技術である「パイプ鋳込み」で製作したコールドプレート(水冷ヒートシンク)、鋳造技術開発、工程整備・品質改善は、既存の枠にとらわれない若手の発想と行動を通じて、他社の追随を許さない経営戦略で躍進しています。
また、同社では企業の付加価値をあげるための「企業の中核的な業務を担う貴重な人材」としての外国人の戦略的雇用を2012年から注力。様々な問題に直面しながらも社内に様々な変革をもたらし、難民を含めた外国人の活躍・社員の意識改革・自社のグローバル化が現在進行形で推進されています。
この度の未来塾では、4代目社長である鈴木氏並びに同社のこれまでの歩みと未来に向けた取り組みをお話しいただきました。
■後継者から経営者へ
これまでの約9か月「危機感」「信念」「行動」等、様々な観点から経営者に必須な資質について講義を通じて考えてきました。
今回ご講演いただいた鈴木社長は、はちおうじ未来塾の1期生。入塾時から既に代表取締役社長として活躍されていましたが、入塾前から現在まで様々な変化があったと言います。
「本意で会社を継いだ訳ではなかった」と鈴木社長。
かつて主要取引先だった大手国内自動車メーカーの受注減などによる業績低迷の危機的状況もあり、社内の空気は良くなかったと言います。一方で、自社のIT化を推し進める等の手腕も発揮。しかしながら「狭い視野で物事を捉えていた。忍耐強くやれば時間が解決してくれるという考えが甘かった」と当時振り返ります。
そんな中、先代である父の勧めで“はちおうじ未来塾”に入塾。未来塾では自社を客観視できたこと、新ジャンルの仲間ができたことが大きな財産になったと言います。
経営者としての自覚と意識がそこから芽生えたという鈴木社長は、会社としての目標を設定。目標実現のために外の世界へ奔走し“敢えて社内にいない環境づくり”を遂行します。
社長不在の環境の中、社内には反発があったものの鈴木社長は曲げませんでした。結果として“自社製品開発”と“アライアンス(異なる立場にある企業同士が利益を生み出すために協力し合う体制)の強化”が実現。自社発展の重要なファクターを培いました。
「社長の仕事は未来を予測し作りあげていくこと」。鈴木社長の社内改革に対する想いと行動は以降、ますます加速していきます。
■海外展開とダイバーシティ経営の構築
未来塾での気づき・出会いを機に、海外へ目を向け、そして足を運んだ鈴木社長。中でもシリコンバレーへの視察は大きな転機だったと振り返ります。
「市場に大きな可能性を感じた。同時に“このままではいけない”想いが芽生えた。自社のマーケティングを強化する重要性を強く認識した」。自社のグローバル化への意識を高めた鈴木社長は対応力を高めるために外国人雇用に着手。
「外国人雇用も単なるワーカーとしてではなく高度人財としての戦力に」と心に決め、人財発掘には同社専務を責任者に。様々な困難がありながらも専務は“難民”とのネットワークに行きつきました。
“難民”という言葉に先入観はあったものの、実際に会ってみるとビジネスへの意欲もあり外国語も流暢。貴重な人財として採用し栄鋳造所の難民雇用が始まりました。
ただ、その後も問題が勃発。上手くコミュニケーションが図れず現場にも影響をきたし、既存従業員からの反発が。
「今思えばそのタイミングが社内の膿が出た瞬間だった」。様々な反発に会いながらも辛抱強く難民雇用を推進した結果、従業員も主体的に物事を考えるクセが出てきたそう。
取り組みが国に評価され2015年経済産業省「ダイバーシティ経営100選」に選定されました。
海外展開は自社だけに留まらず、アライアンスを巻き込んだ展開に広がりました。“日本で培った横の繋がり”を海外へ。仲間たちを海外へ連れてインターンの実施や共同プロジェクトの計画・実行を行っています。
「マンネリに危機感を。“当たり前”を疑う」と鈴木社長。
未来をつくるためには行動あるのみ。そして未来を考えるには共感者・協力者の存在が大きな意味を持ちます。行動そして人脈の大きな可能性を感じました。
■未来に向けて
上記の他にも、韓国子会社設立・アメリカ法人設立など海外展開を着実に進めた栄鋳造所。一方で、2019年2月に未来塾の仲間たちとジョイントベンチャーを立ち上げました。その名も“発ジャパン”。多くの中小企業の課題である「開発」「マーケティング」「資金調達」の解決に役立ちたい想いで立ち上げました。これまでの鈴木社長が培った経験・スキルがアライアンスの集大成として発揮されています。
冒頭の「本意で会社を継いだ訳では無かった」と決してモチベーションが高くなかった鈴木社長は現在、未来に向けて自社のみならず仲間そして中小企業の発展のため行動されています。
そこに至るまでの成果だけでなく様々な失敗も当日お話しいただきました。鈴木社長が繰り返し仰っていたことは「自分の人生。後悔無いように生きること」。一つひとつの行動と見聞を積み重ね、自身が描いた未来に向かって突き進まれています。
「経営に絶対的なゴールは無い。前に進み続け途中で止めないことが大事。そのために“常識に捉われないこと”“周りと一緒に成長するwin-winの精神”を心がけること」。これまでのお話しで相当な覚悟を知りうることができました。
また、未来に向かって突き進むためには【モチベーション】が肝になります。最後に鈴木社長から「組織管理」「自己管理」「意思決定」の観点から【モチベーションの持たせ方】についてのお考えを話していただきました。
モチベーションは自分・相手方どちらにも影響すること。自身を整えるモチベーションと相手方を盛り上げるモチベーション、どのような考えで向き合うか鈴木社長の実体験を交えポイントをお教えいただきました。
さらに、本日お越しいただいていた栄鋳造所並びに発ジャパンの従業員の方々にも、現在の仕事や将来の夢などをお話しいただきました。
株式会社栄鋳造所並びに株式会社発ジャパンの従業員の方々 |
皆さんが自信に満ちてお話しする姿は、まさにモチベーションの高さを感じました。従業員教育の面でも経営者としての有るべき姿を塾生は学ぶことが出来たのではないでしょうか。
今回はおよそ6時間にもわたり、経験に基づいた“経営者としての想い・行動”をお話しいただきました。これまで10回にわたる講義の総まとめとなった今回。塾生は様々な観点で“経営者マインド”を吸収し、行動に移す大きなきっかけを得たのではないでしょうか。
残すは“修了式”。各塾生が未来に向かったそれぞれの想いを修了式で発表します。引き続き運営側も塾生と共に尽力してまいります。