(株)コスモ計器 バックナンバー
『暮らしを支えるお手伝い』
取材先 株式会社コスモ計器(代表取締役 古瀬智之社長)
所在地 東京都八王子市石川町2974-23
電話 042-642-1357
また、古瀬氏は、同社代表を担うのみならず、平成27年度よりサイバーシルクロード八王子会長として、日々のサイバー事業に多大なるご協力を頂いている。先代からの事業承継をはじめ、今後のコスモ計器について、様々なお話を伺った。
突然の事業承継
父であり、コスモ計器の創始者である先代・古瀬清氏は、もともとは狛江市にあった飛行機用の計測器メーカーのエンジニアだった。ある日、飛行機部門ではなく、自動車エンジンの機密性の試験をしたいという依頼を先代が請け負い、そのアイデアを以て、現在のコスモ計器があるという。50年程前では、空洞の開口部を塞ぎ空気の圧力をかけ、水中へ沈めた際に漏れてくる気泡の具合で漏れテストを行っていた。だが、金属部品である為、錆への懸念をはじめ、人間の目で確認を行わなければならない点や、漏れの具合が推定量でしか把握できないという問題点が多々あった。これらの工程を一貫して機械化し、空気の圧力を以て漏れの具合を計測する機器を先代が発明し、現在に至っている。コスモ計器では、これらの「漏れテスト計測器の製造・販売」、また「漏れテスト用の設備の製造」「メンテナンス・サービス」の3つを重要な柱として、日々取り組んでいる。中でも、メイン商品「エアリークテスター」は国内外問わず、多くの需要があるという。入社時のことを「自分自身も理工系が嫌いではなかったので、当然にしてこの会社を手伝う運命にあるというのは念頭にあった。大学も機械科を選び、計測関係の学科を卒業し、強要されることなく自らの意思で、且つ自然に(コスモ計器に)入社した。入社時は、エンジニアとして設計の仕事をした。」と古瀬氏は話してくれた。だが古瀬氏が入社してわずか3年程経った頃、先代が突然、病に倒れ、不在になりがちになってしまった。当時は従業員数も50名弱程度であり、先代はワンマン社長の気質があったそうだ。故に、方針や今後の展開も全て先代自らが作っていた為、いなくなってしまった時には会社の仕組みというものが全く無くなってしまった。古瀬氏は「今、儲かっているのか、いないのかさえも良く分からない状況だった」と話す。
先代不在の状況で、エンジニアとして入社した古瀬氏が、まず初めに取り組んだことは、若手社員でプロジェクトチームを立ち上げ、財務会計ソフトの導入、人事関係・昇給等、会社の仕組み・規定を作り上げることに注力したそうだ。古瀬氏は「いま思えば、ちょっとした創業のようだった」と笑いながら話してくれた。それから13年後、37歳で先代が亡くなり、事業承継を経て、株式会社コスモ計器の代表取締役となり、今日に至っている。 |
コスモ計器だからできること
コスモ計器のメイン商品とも言える検査用機器「エアリークテスター」は、全数八王子工場で製造している。それに使用される部品類や電子基板等は近隣工場へ委託している為、製造にかかる人員的にはさほど多くないそうだ。また、検査装置に関しては、依頼あっての製造販売となる為、年間で数台しか生産しないという。では、コスモ計器の最大の特徴となるのは何か。それは「営業」と「アフターサービス」に圧倒的な人員を費やしていると古瀬氏は話してくれた。そもそも、コスモ計器の提供する商品は、顧客が自由に使いこなすことが難しく、現場でのフォローが絶対的に必要であり、「現場での人海戦術を行う」、それが1つの営業方針にもなっている。それ故、コスモ計器では150名の従業員のうち50名以上、国外においては更にプラス100名が営業、サービス人員だそうだ。一般的に、経営戦略的に言えば、ある商品を模倣して作ることは可能であるが、既にトレーニングされた人間を現場に配置し、そこから現場へ出向く体制を作るというのは模倣が難しい。コスモ計器の様に、これ程までの人員を以てサービスを行う事は、コストや時間を費やす為、同業他社もなかなか真似できない、コスモ計器の大きな強みであると言えるだろう。コスモ計器という会社は、メーカーではありながら、限りなくサービス業に近いのである。反面、コスモ計器の営業では、顧客にとっては手間はかからないが、人間を以てのサービスである為、商品にその分の値段が上乗せされることはやむを得ないという。営業エリアは全国各地、また海外にも拠点を設けている。国内では、関東をはじめ、栃木・宮城・浜松・名古屋・大坂・広島・北九州等、大手自動車メーカーが密集しているところにはいつでも出向くことができる体制は整えているそうだ。海外においても支店・代理店は数多く置いている。
主な取引先は、エンジンを製造する自動車メーカー、トランスミッション・ブレーキ・インジェクターを始め、ワイパーモーター・ガソリンキャップ・ガソリンタンク等の自動車部品メーカーだと古瀬社長は話してくれた。コスモ計器では、その他に携帯電話やガスレンジ・ユニットバス配管・洗濯機等の試験も請け負っているという。あらゆる用途で、様々なところにあるが、国内では6割、海外では9割以上が自動車関連だそうだ。 近年では、自動車メーカーの半分以上が海外で製造している状況ということもあり、平日は社長業、土日はサイバーシルクロード八王子へ出講して頂く事も多い中で、古瀬氏は海外出張も非常に多く出向いている。 メイン製品「エアリークテスター」
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従業員との関わり
社長の立場ともなると、さほど頻繁に従業員とのコミュニケーションがとれるものではないが、古瀬氏はトップマネジメント及び各本部マネージャーとの打ち合わせを定期的に行う事で全社的にカバーを図っている。その成果もあって、どの部署でどういう課題があるかを共有することが出来るが、やはり大きなテーマとして共通しているのはどの部署においても「人材育成」だという。
“二代目社長”という職業との向き合い
コスモ計器が目指すこと
古瀬社長には、日頃よりサイバーシルクロード八王子で行っている多くの事業に多大なるご協力を頂いている。様々な助言やアドバイスを頂く会話の中でも、古瀬社長が対人間への接し方を重んじているのは、ひしひしと伝わってくる。我々も度々、コスモ計器に伺うことがあるが、いつ訪れてもそこですれ違う従業員は笑顔で満ち溢れている光景は非常に印象深い。その背景には、古瀬社長が事業承継を経てから今日に至るまで、また今後においても「従業員の満足」というテーマととことん向き合っているからこその、光景なんだと今回の取材を通じて改めて感じる事が出来た。「社長に愛されている従業員」が多く在籍するコスモ計器は、今後の日本をはじめ、海外でも自動車業界を支える唯一無二の存在になるに違いないと感じた。 |