CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第12回 田之倉公認会計士事務所

信頼づくりが第一

取材先 田之倉公認会計士事務所(所長 田之倉敦司)

所在地 八王子市高尾町1585 高模ビル3F

電話 042-668-0663

e-mail tanokura@mb.infoweb.ne.jp

URL www.tanokura-cpa.com/

税務相談や経営相談等に応じてもらえるのが「会計事務所」。どちらかというと敷居が高く思われがちなこの業界。気軽に足を運べたらどんなに良いだろう。その期待に応えてくれるのが、JR高尾駅の近くにある「田之倉公認会計士事務所」である。今回は地域貢献を事業展開とする田之倉敦司(たのくら あつし)公認会計士にその思いを伺った。

 

 

創業間もない企業のために・・・

 田之倉さんが監査法人から独立したのは平成11年。八王子の高尾に自分の事務所を開設したのは昨年になる。企業の税務会計や株式公開を目指すような会社の支援が主な業務内容となっているが、もうひとつの大きな柱は創業後間もない地元企業の経営コンサルティングである。

「創業後間もない企業の支援を行うというのは、若い企業に気軽に相談に来てくれる環境をつくりたいから」と田之倉さんは語る。確かに、創業後間もない企業にとって専門士である会計士に仕事を頼むのは、ある程度の収入が確保できるまでは敷居が高くなりがちだ。そこで田之倉さんは「創業間もない企業には2年間は特別料金(格安)で相談にのっています」と言う。

「企業の廃業が多くなってきている現状で、かなりの技術を持った人が溢れているため、そういう方々が新規事業を起こす時の支援を行う。なぜなら新しい事業者が出てこなければ、八王子の元気が生まれてきませんからね」。これが、田之倉さんが創業支援を柱としている理由である。

 

 

選んだ仕事は『公認会計士』

学生時代から、どこかの企業に属して組織の中にいるより、田之倉さんは自分で何かをしたいという『独立志向』が強くあった。その結果、公認会計士という仕事を選んだ。そのため、大学在学中から試験を受け卒業した年に見事パスし、更に最終的な資格取得に必要な3年の実務経験も「業務的に種々のクライアントを持ち色々な会計事務に携わることができるから」と中小の監査法人に決めたという。こうして、大学を卒業後、実務経験を積み、昭和60年8月に公認会計士の資格を取得する。

大きな会社は商法や証券取引法により定期的に外部監査をいれなくてはならないので、企業の帳票等を証明する企業の監査業務が、会計士の仕事のひとつである。そのため、「会社としての重要な情報をやり取りするためクライアントの信頼関係がポイント」と田之倉さんは語る。しかし一方では、時代の流れで今は癒着を避けるために定期的に担当者を代えるようになったと言う。

 そのようなことから、どんなに信頼関係を築いたとしても企業人の一人では限界を感じ、また学生の時から思い描いていた”独立する”という志向のもと「自分の事務所を持とう」との思いを強くしていった。

 

 

弁護士であったとしても、民事専門や刑事専門等、弁理士にしても技術が専門、管理が専門というように、それぞれ同じ公的資格でも、得意分野によって業務内容を特化している事務所は多い。会計事務所にもそのことは言える。

田之倉さんは、事業内容として先にも触れたが「株式公開を目指すような企業や公開会社の子会社等会計ビックバンにより最新の会計基準に準拠することが求められる企業の指導、特に地元八王子から多くの株式公開企業を育てたい」また「八王子の産業活性化のために、既存の地元企業の経営革新のための支援や、創業後間もない企業の支援を行っていきたい」と今後における自身の事業展開を目論んでいる。そのため、企業会計が新しい会計に常に変化していく中でそれに対応していくためには、自らも日々勉強しなくてはならないとも考えている。まさに時代のニーズ変化に柔軟に対応する会計事務所が”田之倉公認会計士事務所”の売りなのである。

「クライアントを広げていくことを考えれば、都内に事務所を構えた方が有利と思うが、折角公的な資格をとり、元々八王子で生まれ育ったので、会計士として地元のために役に立ちたいという思いが強い」とこれは、なぜ八王子に独立開業をしたのかという理由であるが、このことから地元を視野にいれた事業展開を生むこととなる。

例えば、サイバーシルクロード八王子の会員活動においても、『株式公開勉強会』や『地域ファンド勉強会』と地元企業のためにボランティアで中心になって動いていることもそういう支援を行いたいという思いがあってからこそできることである。

  「八王子から元気な企業を創出し、その手助けができれば嬉しいですね」と微笑みながら話を終えた田之倉さんの今後の動きに注目だ。

 

 
編集後記
 初夏の照りつける太陽の下、今回の取材を行った。自分の中では法律関係の事務所というと薄暗いというイメージがあったが、中に入ると、机や壁紙が白を基調にしたレイアウトだったためか、明るく開放的に感じられた。

また、田之倉さんの地元を思う熱意と体から滲み出る優しさと柔らかな対応をしていただいたことにより、ついつい時間の経過を忘れてしまうほどだった。田之倉さんが支援した企業の発展を願うのは勿論であるが、「田之倉公認会計士事務所」が田之倉さんの人柄により更なる飛躍に大きな期待をして締めたいと思う。

(取材日2002年7月19日)