CO.HACHIOJI元気な企業インタビュー

第4回 (株)現代広告社(平成15年8月1日ゲンダイエージェンシー(株)に変更)

社長の仕事は人材を活かす環境を整えること

取材先 (株)現代広告社(平成15年8月1日ゲンダイエージェンシー(株)に変更)

(代表取締役 山本正卓)

所在地 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル29F

電話   03-5308-9888(代)

URL   www.gendai-a.co.jp/

 代表取締役 山本正卓さん

どこにいっても見かける「パチンコ」。株式会社現代広告社はその広告・宣伝コンサルタントを手掛け、急成長を続けている。同社は平成7年に創業以来、6年連続前年度比1.5倍以上で成長を続けており、平成13年度の売上げは創業時の17倍にあたる31億円に達した。社員171名、平均年齢28歳のこの会社の元気の秘密はどこにあるのか?代表取締役社長の山本正卓(やまもと まさたか)さんにお話を伺った。

 

 

急成長の理由は社長の先見性と独自の事業モデル

パチンコ業界の市場規模は28兆円。レジャー産業全体では最大、全産業でも自動車部品関連業界に次ぐ規模にあたる。広告の占めるウェートもさぞやと思いきや、従来のパチンコ業界は広告やマーケティングをあまり重要視してこなかった。
「だからこそ、いずれ広告のニーズは絶対高まる時代が来る」。そう予見した山本社長は、創業以来ターゲットをパチンコ業界に絞って独自の事業手法を展開してきた。通常、パチンコ業界の広告といえばチラシやポップである。ところが、現代広告社の「広告」はそこに留まらない。実態はむしろ「パチンコ店の総合コンサルティング会社」に近く、顧客の1店1店について店の立地や顧客分析から始め、店を最も効果的に宣伝する「ストーリーをプロデュース」する。「広告」は「ストーリーづくりの1ツール」なのである。
 生き残りをかけてパチンコ業界が必死の競争を繰り広げる今、山本社長のヨミどおりパチンコ店は広告に力を入れ始め、現代広告社の事業手法は着実に顧客を捕らえている。現代広告社の躍進は、こうした山本社長の先見性と独自の事業モデルが礎となっている。
 

 

最大の強みは『人材』である!

もちろん、この躍進は先見性と独自性だけで得られる結果ではない。もう1つ、現代広告社ならではの強みがある。現代広告社には、現在64人のクリエイターと56人の営業マンがいる。クリエイターは「ストーリーが載った広告」をデザインし、営業マンはそれを「顧客が最も有効に活用できる手段」として提供する。広告の内容と手段の両方を提供できる「これらの人材こそが現代広告社の強み」と山本社長は言い切る。
だから、「社長の仕事は人材を活かす環境を整えること」と、山本社長は「社員たちが気持ちよく働ける環境づくり」に余念がない。クリエイターの作品が電車の中吊り広告に採用されれば、実際につるされた様子を写真を撮るために電車にも乗りに行く。それを本人に渡し、社内にも飾る。「そうやって自分の仕事を実感できるのはやっぱりうれしいでしょう」。
パチンコ業界に対する熱い思いを語ってくれた山本社長

 

 

与えられた試練は自分の全て。自分の『肥やし』である

数字を見る限り、創業以来順風満帆の現代広告社も、その数字の裏にはたくさんの苦難があったに違いない。しかし、山本社長はそういう苦労を少しも感じさせず、あくまでポジティブ、あくまで謙虚に「経験すべては自分の『肥やし』」であり「苦労を与えてくれて感謝している」という。
「2歳で父親が他界して幼少時は愛知県豊橋市の祖母の家に預けられて育ち、高校時代はラクビー部で練習をする傍ら工事現場で汗を流して学費は全て自分で稼いだ」という弱冠38歳の
平均年齢28歳。(株)現代広告社はバイタリティ溢れる会社だ。

 

グローバルに地域と人材を考える

山本社長は「今の日本を根底から元気にさせるには、若い人の力が不可欠」と考えている。だから、現代広告社は地域とのつながりと若い人材のバックアップを重視している。

たとえば創業時にほとんど広告料なしで立ち上げた八王子の情報サイト「8oz(ハチオンス)」や、「八王子まつり」の広告、「マルベリーブリッジ」のオープニングセレモニーの企画運営等、積極的な支援を続けている。

さらに、先輩起業家として「大学や若い資源が豊富な八王子で起業を考えている若者ともっと会いたい」という。山本社長は、日本で40人しか所属していないアントレプレナーの世界組織、「YEO(Young Enterpreneurs Organization)」に所属し、この7月に第7期会長に就任することとなっており、グローバルな視点から若手起業家の支援に力も注いでいる。

社長室には社員の最優秀作品が飾られる

 

 

「小見出しを記入3」

 社長室の壁に掛けられた額の言葉である。「40歳で上場、50歳で世界展開」と将来の夢を語り、それでいて常に社員のことを考えながら着実に歩む。山本社長の姿はこの言葉そのものと言って良い。
 パチンコは日本が創った文化。海外では現在タイ、フィリピン、香港等に輸出されているが、まだまだ世界的には認知度が低い。山本社長の夢は「パチンコを世界に売り込み、業界に外資を参入させること」だという。そうすることで市場が活性化し、ビジネスチャンスも広がる。そして、アニメと肩を並べる日本発祥の文化として全世界に広がり、受け入れられていく。そんな新産業としての期待も強い。
     こうしたチラシだけでなく、販売戦略をトータル的に提供できるのが(株)現代広告社の強みだ。
 自社の躍進とともに業界の牽引役も担っている現代広告社。その活躍で、「パチンコ」が「PACHINKO」となって世界へ羽ばたいていくのはそれほど遠い未来ではないかもしれない。

 
編集後記
取材を終えて実に爽やかな気分で現代広告社を後に出来たのは、なぜだろうか?・・・それはもちろん現代広告社の女性がみんな綺麗であったことも一因だが、何よりも山本社長が本当に魅力的な方であったからである。明るく、精力的であり、それでいて謙虚。このカリスマ社長を持ってすれば、事業が成功するのも不思議ではない。そんな山本社長の話は、起業しようとしている学生が聞けばきっと勉強になる。
 サイバーシルクロード八王子の中でも、山本社長のような方と起業を意識している若者が交流できるような環境をどんどん提供していくべきだろう。そして、それがYEOの次期会長に就任される山本社長の意志でもあるのだ。人を惹きつけてやまない山本社長と現代広告社に、今後も目が離せない。
(取材日2002年4月24日)